nekoTheShadow’s diary

IT業界の片隅でひっそり生きるシステムエンジニアです(´・ω・`)

下佐粉昭『即戦力のDB2管理術:仕組みからわかる効率的管理のノウハウ』

即戦力のDB2管理術 ?仕組みからわかる効率的管理のノウハウ

即戦力のDB2管理術 ?仕組みからわかる効率的管理のノウハウ

少し前に炎上中のDb2保守案件にトラブルシューティングとして投入されたことがあり、そこでは「大変な目」(泣)にあったのですが、そのことを話した先輩から推薦されて買った1冊です(´・ω・`) 出版は2011年と技術書としてはやや古い部類ですが、しかしそれを差し引いても読む価値がある良書だと思います。

Db2といえば商用データベースとしては世界的なシェアをほこり、ミッションクリティカルな用途にも十分耐えうる優秀な性能を持つ一方、Oracleなどに比べるとオープンな情報が少なく、技術者や保守要員も集めづらいことでよく知られています(少なくともわたしの観測範囲では)。IBMとしては情報をクローズにすることで競争の源泉としたいのでしょうが、そんなことはお構いなしに投入される現場のSEにとっては迷惑な話です。

本書はそんなDb2の管理術、すなわち保守維持フェイズについて「基本のキ」から学べてしまいます。「基本のキ」としたのは、本書は「こういう問題が発生した場合はこういう対策を取りなさい」というようなQ&AやTipsの羅列ではなく、Db2DBMSの基本的な仕組みから解説しているから。つまり「DBとはこういうもので、そのためにこういう問題が発生するから、こういう対策を取りなさい」という説明が中心であり「Db2に関心がある」「なぜかDBAとしてプロジェクトに投入された」「Db2の保守維持で困っている」という人だけでなく「そもそもDB・DBMSとはどういうものかを知りたい人」にもおすすめできる1冊だと思います。

ここまで「保守維持」というワードを強調してきましたし、事実「保守維持」フェイズにおいて本書が役立つことは言うまでもないのですが、開発フェイズにおいても本書を傍らに置いておきたい。最近はDBMSの機能向上が著しいからか、DBの運用設計というのはないがしろにされがちで、そのつけが本番障害として現れる、つまりDBを起因としてプロジェクトが火を噴くというのもよく聞く話です。要はDBの運用設計は開発フェイズやさらに上流の要件定義フェイズできちんとなされるべきであり、本書から提供される知識はその運用方針を決めるという段階でも多いに役立ちます。

まあそんなわたしが現在在籍しているプロジェクトはかなり巨大なデータ量を扱うにもかかわらず、DBAがいないという(´・ω・`) 後々トラブルになりそうでござる(´・ω・`)