ビッグデータを支える技術―刻々とデータが脈打つ自動化の世界 (WEB+DB PRESS plus)
- 作者: 西田圭介
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/09/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
最近はビッグデータというよりKPI分析の重要性がIT以外の企業の経営層にも認知されつつあるらしく、データウェアハウス構築系の案件はよく耳にします――というかわたしも参加したことがありました(超炎上した)。Webの常識では考えずらいのですが、企業の業務システムは寿命が長く、20年戦士30年戦士というものも少なくありません。そのため比較的小規模なシステムでもデータが蓄積されていることが多く、「せっかく集まったデータを活用できないか」という風に考えるのではないでしょうか?
本書ではビッグデータに関する技術が紹介されていますが、まずよいところとして設計から開発、保守運用に至るまでのソフトウェアライフサイクルの全工程がスコープに入っていることです。システム開発はどうしても「作って終わり」となりがちですが、とりわけビッグデータ系システムは運用し始めてからが本番。わたしが開発中心のシステムエンジニアということもあり、利用者そして運用オペレータの気持ちになることの重要性を思い知りました。
また特定の技術領域やフレームワークの紹介で終わっていないことも好印象でした。とある領域の全貌を知りたくて買ったのに、実際は特定のフレームワークの解説ばかり――というのはIT系技術書でよくある話です。本書はそのような狭路に入り込んでいないことはもちろんのこと、ビッグデータに関連する概念や歴史がわかりやすく解説されており、まさにタイトル通りの1冊でした。開発者はもちろんのこと、システム管理者やオペレータにもおすすめできると思います。