はっきりいっておくと本書に目新しいことは数少ない。しいて言えば、日本ではなじみのないアプリや金融&不動産の知識ぐらいだろうか。本書の内容のほとんどはどこかで聞いたようなこと、あるいは常識的な推論を積み重ねた常識的な結論である。
しかしその事実は本書の価値をまったく棄損しない。なぜなら本書はタイトルにもあるように「マニュアル」だから。人々が「マニュアル」に求めるのは、読者が中身を平易に実践できることであり、考えられることすべてについてMECEに記述されていることである。本書はこの2点を完璧に満たしている。本書の中身が聞きなじみのあることや常識的なことばかりに思えるのは、それが万人にとってのベストプラクティスであることの裏返しなのである。
いうなれば、本書は全部入りのベストプラクティス集である。タイトル通り「マニュアル」として、壁にぶち当たったときに読み返したいと思う。