- 作者: 広瀬正
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/07
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 146回
- この商品を含むブログ (142件) を見る
まえまえから気になっていた作品。最近ようやく機会があり、手に入れることができました。噂通り面白かったです。手が止まらないとはこのことですね。すいすい読んでしまいました。
それにしても論理的な作品でした。本作では「タイムトラベルにともなうパラドックスは自己収斂する。すなわち過去改変はごく小規模であれば可能である」という立場をとっているのですが、それが物語を一気通貫しています。
一方で非常に情緒的な作品でもありました。戦前から戦後にかけての東京の変化がいろどりゆたかに描かれています。とりわけ都市風俗の書き込みぶりは並大抵ではありません。おそらくかなり綿密な主取材調査にあたったのでしょう。
単に小難しい理屈をこねくり回すのではなく、一方で物語としての面白さを優先するあまり、理屈をおろそかにするのでもない。そのふたつが同居する素敵な作品だったと思います。これだけの傑作はなかなか得難いでしょう。
――とここまで書いておきながら、実はわたくし、SFに関しては全くの門外漢でございます。
以前冒険小説については素人だと書いた記憶がありますが、SFはそれ以上。門外漢の中の門外漢。どの程度かというと「タイムトラベル」と聞いて真っ先に思い出すのが、ウェルズ『タイムマシン』。というよりそれ以外が思い出せない……。ハイライン『夏の扉』もそうだったかしら?
- 作者: ハーバート・ジョージウェルズ,Herbert George Wells,池央耿
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/04/12
- メディア: 文庫
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
- 作者: ロバート・A.ハインライン,福島正実
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/01/30
- メディア: 文庫
- 購入: 44人 クリック: 160回
- この商品を含むブログ (89件) を見る
要するに「素人が適当なこといっていたらすみません」ということです。とはいえわたしは面白く感じたということについては再度述べておきます。「自らの感性を信じ抜く」そういうこともきっと大事です。
追記:あとでしらべたところ、冒険小説に関してうんぬんかんぬん述べたのはラングレー『北壁の死闘』の記事においてでした。