nekoTheShadow’s diary

IT業界の片隅でひっそり生きるシステムエンジニアです(´・ω・`)

読書メモ: 『三島由紀夫と楯の会事件』『陰謀の日本中世史』『クー・クラックス・クラン』『山口組四代目 荒らぶる獅子』

ここ最近読んだノンフィクションや新書のうち、面白かったものの読書メモです(´・ω・`)

保阪正康三島由紀夫楯の会事件』(ちくま文庫)

タイトルには「楯の会事件」とあるが、これはいわゆる三島事件のこと。本書はその「楯の会事件」が発生した背景を探るべく、三島由紀夫ではなく「楯の会」について綿密に取材したものです。三島事件というと作家三島由紀夫が「子分」である楯の会を集め、先鋭的な行動に走った――とイメージしていたが、本書によると、楯の会との交流の中で三島の思想は先鋭化し、あれだけの事件を引き起こすまでになったらしい。

呉座勇一『陰謀の日本中世史』(角川新書)

陰謀の日本中世史 (角川新書)

陰謀の日本中世史 (角川新書)

鎌倉時代から織豊時代までのさまざまな歴史的事象について、世間に流布する陰謀論を批判・検討した1冊です。あけすけにいうと「昔のことなんてよくわからない」。だから想像力を駆使しすぎた陰謀論があとを絶たないわけですが、それらが荒唐無稽な議論に過ぎないことを本書はアカデミックな視点から丁寧に解説しています。個人的には「鹿ケ谷の陰謀」の実在があやしいというのがなんとなくしょっく(´・ω・`)

浜本隆三『クー・クラックス・クラン: 白人至上主義結社KKKの正体』 (平凡社新書)

白人至上主義を奉ずる秘密結社で、白い頭巾をかぶって夜な夜な集まり、黒人をリンチにかけるという、おどろおどろしいイメージで語られがちなKKK。その実態と政治的社会的背景に関する「日本ではじめての新書」だそうです。その活動が長期にわたり、盛り上がりが3回あったということからもわかる通り、排外主義集団といっても、その時代時代に複雑な位相を持っているという当たり前のことを再認識しました(小並感)

溝口敦『山口組四代目 荒らぶる獅子』(講談社+α文庫)

山口組四代目 荒らぶる獅子 (講談社+α文庫)

山口組四代目 荒らぶる獅子 (講談社+α文庫)

山口組4代目組長の一代記です。とにかく「きちんと取材している」というのが読み終わっての印象。取材するのが記者の仕事とはいえ、実家や生い立ちまで取材しているのは珍しいのでは? とりわけ対象が対象ですし。また「取材をして、その記録を活字化した」というだけではなく、ところどころに筆者が顔出して論評を加えており「読み物」としても結構水準が高いように思われます。