- 作者: 上田隆一
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2015/05/15
- メディア: Kindle版
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めざせシェル芸人――とまでいわなくても、Shell Scriptを使いこなせるかどうかはプログラマにとって重要です。ロートルなSIerに勤めているとよくわかるのですが、この道何十年というベテランプログラマでもシェルをいまいち使いこなせないという人はおり、シェルが人よりちょっとわかるというレベルでも市場価値はぐんと伸びます。
Shellを覚える利点として「定型業務が自動化できる」という話を聞きますが、さまざまな自動化ツールが世にあふれ、PerlやPythonなどの高機能なスクリプト言語がLinuxにビルトインされている現代、シェルスクリプトの主戦場は「書き捨て」にあると個人的には思っています。いくらPythonやPerlが便利といっても、非定型業務を書き捨てプログラムで楽にこなすという観点ではシェルスクリプトにはまずかなわない。またコマンドとパイプをつなぎ合わせながら1行で複雑な処理をかける爽快感もPythonやPerlでは味わえないものです。
本書は「Shell Scriptでこみいったシステムを作る」というよりは「書き捨てプログラムを素早く書いて、ちょっぴり複雑な業務を手早く終わらせる」ということを中心とした入門書である――とわたしは感じました(まあ「こみいったシステムを作る」的な話がないわけではないので、筆者の意図せざるところかもしれませんが)。またタイトルにわざわざ「実践」と題しているように、現実の業務で出くわしそうなテクニックが多数紹介されています。個人的にはgrep -o .
とxargs -P 0
というイディオムがもっとも「目からうろこ」でした。あとはなんとなくで使っていたxargs
やsed
についてきっちり学ぶ機会になりました(´・ω・`)