nekoTheShadow’s diary

IT業界の片隅でひっそり生きるシステムエンジニアです(´・ω・`)

最近読んだノンフィクション3冊: 『食肉の帝王』『ザ・粉飾: 暗闘オリンパス事件』『あの会社はこうしてつぶれた』

仕事が忙し杉内(´・ω・`) 仕事で使う技術書を読むだけで精一杯なのですが、そんな中でも一般書を読んではいます。そこで最近読んだ技術書以外の本のうち、とりわけ面白かったノンフィクションジャンルの作品を紹介します。

溝口敦『食肉の帝王』(講談社+α文庫)

食肉の帝王 (講談社+α文庫)

食肉の帝王 (講談社+α文庫)

食肉業界はその歴史的経緯から魑魅魍魎が渦巻く世界であることはよく知られているが、本書は政治財界暴力団を巧みに乗りこなしながら、その魑魅魍魎を御したとある男の「闇」に迫っている。著者はジャーナリストであり、また対象人物がさまざまな法律や道徳を破っていることから、「闇を暴く」という論調になっているが、見方を変えてみると「あらゆる手段を利用してのし上がったダークヒーロー」あるいは「食肉業界のトニー・モンタナ」といえなくもない。どう読むべきかは読者に任せることだとしても、おいしいお肉がどのようにしてわれわれの口に運ばれているのか、そしてそれをだれが牛耳っているのかを知ることは決して悪いことではないだろう。

山口義正『ザ・粉飾: 暗闘オリンパス事件』(講談社+α文庫)

ザ・粉飾 暗闘オリンパス事件 (講談社+α文庫)

ザ・粉飾 暗闘オリンパス事件 (講談社+α文庫)

筆者はオリンパス事件を「発見」したジャーナリストであり、その観点から書かれた本書は躍動感に満ち溢れていました。オリンパス事件の概要と推移だけではなく、それがどのように暴かれ、白日の下にさらされたのか。そしてその過程において筆者を含む当事者たちは何を考えていたのか? ドキュメントとしてはもちろんのこと、ある種の読み物・サスペンスとしても面白い1冊だと思います。そして地位と名誉は人を狂わせるということ、巨大企業といえども粉飾決算の方法はありふれている(=ペーパーカンパニーを過剰な"のれん"を計上して買収し、のちのちその"のれん"を損失として計上する)ことを再確認しました。

帝国バンク情報部 藤森徹『あの会社はこうしてつぶれた』(日経プレミアシリーズ)

本書は倒産の事例集です。テーマごとにさまざまな実際の企業の倒産理由が2-3ページずつ紹介されています。通して読まずとも、気になる企業からぱらぱら目を通してみてもいいかもしれません。それにしてもひとくちに「倒産」といってみても、その理由原因はさまざま。企業には企業ごとの歴史があるようにその倒れ方もバリエーションは豊か。不謹慎ですが、倒産企業に縁のない第3者視点あるいは野次馬根性で読むと面白い1冊でした。盛者必衰の理をあらはす――とは少し大げさですかね(´・ω・`)