- 作者: 三遊亭円朝
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/03/16
- メディア: 文庫
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今では英米文学、なかでも英米のミステリやハードボイルドを中心に読んでいるわたしですが、高校時代は日本の近世文学や近代文学が好きで、井原西鶴や谷崎純一郎や太宰治あたりを図書館にこもって読んでいたことを思い出します。友達が少なかったので(´・ω・`)
そういう暗いバックグラウンド(?)を持っているということもあって、発作的に日本の近代文学を読みたくなることがあります。そこで今回の発作では三遊派の中興の祖であり、言文一致体ならびに日本近代文学にも影響を与えた三遊亭圓朝の『真景累ヶ淵』を手に取ってみました。
久々に読む近代文学であり、またもともとが速記本ということで、読むのに苦労すると思いきや、意外にもすんなり読み進めることができました。目の前で落語家や講談師がまくし立てているかのよう――というと、少し大げさですが、しかし文章のリズム感がよく、古めかしい言い回しや単語を除けば、かなり平易に読むことができたと思います。
内容としては、壮大な因果の物語とでもいえましょうか。登場人物が何世代にもわたって、因果律により切り結ばれ、そして悲劇的な結末を迎えます。そのスケールの大きさはなかなか壮観でした。また結末はまるで推理小説でいうところの「叙述トリック」のような仕掛けがなされており、長い物語を効果的に終わらせるには抜群で、エンターテイメントとしての質を押し上げているというような印象を持ちました。