前回に続いて、最近読んだ本の読書メモを紹介します。全部まとめると長くなりすぎるので、3回シリーズにしていて、今回はその2回目になります。
JavaScriptレスの動的 UI 開発 htmx 入門
htmx という名前は聞いたことがあっても、詳しい仕組みは知らない状態で読んだ本です。ひと言で言えば、htmx の基本機能を簡潔に整理した上で、後半に実践的なアプリケーションを構築する流れまで踏み込んでおり、基礎から応用まで学べる構成になっています。
htmx は “HTML に便利な機能を追加する” というアプローチのフレームワークなので、リッチなクライアント機能を必要としないケースには適していると感じます。ただ、状態管理を複雑に扱おうとすると難しさが出てきそう、という印象もあります(その点では、jQuery やバニラ JS でも十分対応できるケースも多いのでは、という思いも残ります)。総じて、htmx に興味があるなら、少ない類書のなかでも有力な選択肢になる本だと思います。
Vue3 フロントエンドの教科書
Vue3 関連の仕事にアサインされたため、キャッチアップを目的に読んだ一冊です。Vue3 の基本機能やよく使われるライブラリが網羅的かつわかりやすく解説されており、Vue3 入門書として非常に良くできている印象を持ちました。私は以前に Vue2 を使っていた経験があったので、その知識のアップデートにもなりましたし、実務でも役立っています。
ハンズオン形式である点は好みです。ただ、各セクション開始時に npm init を都度行う構成になっているのがやや煩わしく感じる場面はありました。
システム運用アンチパターン
システム運用アンチパターンwww.maruzenjunkudo.co.jp
運用・保守の現場では、しばしば似たような“やってはいけない”状況に遭遇します。本書はそうした状況をアンチパターンとして整理し、それぞれの原因と対処法を解説しています。個人的には、DevOps を文化として捉える視点が特に興味深かったです。DevOps を導入するには、自動化や技術面だけでなく、組織文化として根付かせていくことが不可欠で、それには発信力や人を巻き込む力が求められる――という指摘には強く共感しました。
また、本書はマネージャやアーキテクトだけでなく、一般のエンジニアにも視点を向けて書かれている点も好印象です。組織上層部だけで改善を進められるわけではなく、現場レベルの技術者が改善の種をまけるような示唆も多く含まれています。体系的な DevOps 解説ではないものの、アンチパターンという切り口を入り口に現場改善へつなげる意味では、とても実践的な良書だと感じます。
ソフトウェアテスト徹底指南書
ソフトウェアテストに関する知見を、極めて包括的かつ体系的に整理した一冊です。全43章にわたって、テスト設計、マネジメント、モニタリング、リスク管理、テスト自動化など、あらゆる領域を網羅しています。内容量が非常に多いため、一気通読は根気を要しますが、それだけの価値があります。業界で話題になったのも納得の出来です。情報量と実践性のバランスが優れており、学習者にも実務者にも手元に置いておきたい良書だと感じました。
特に印象に残ったのは、品質管理とテストを全体で統合的に捉える章立てと、プロジェクトリスクやモニタリングの章の実践的な示唆です。読んでいくうちに、自分の足りなさを思い知らされるような、いわば“教えられる側”に立たされる感覚もありました。