nekoTheShadow’s diary

IT業界の片隅でひっそり生きるシステムエンジニアです(´・ω・`)

最近読んだ本: 『ガリバルディ』『黒い看護婦』『中核VS革マル』『ドキュメント 新右翼』

最近読んだ本のうち、フィクションでないものについて読書メモをさらしていきたいと思います(´・ω・`)

藤澤房俊『ガリバルディ: イタリア建国の英雄』(中公新書)

タイトルの通り、ガリバルディの評伝です。ガリバルディといえばイタリア建国の父として神格化され、虚実ないまぜの伝説が流布していますが、本書はその伝説を排しつつ、最新の研究成果を生かした記述に努めています。ただ伝説なしでも、かなりの豪傑だったことは間違いなさそう。またガリバルディの存在は明治維新期の日本や植民地統治時代の朝鮮にも伝わり、大きな影響を与えたということからも、英雄というにふさわしい人物だと思いました。

森功『黒い看護婦: 福岡四人組保険金連続殺人』(新潮文庫)

黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)

黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)

中年の看護婦が詐欺や恐喝、はては性的関係までを駆使して、同じ看護婦3人を洗脳し、自らの金銭的欲求を満たすべく、保険金殺人を繰り返していく。本書はそんな3流のスリラーのような事件のルポタージュです。はっきりいうと主犯の女が異常そのもので、「ふつう」の生活を送っていた3人を見え見えの作り話(しかし彼女らは気づかない)で、自らの手中に収めていく。これが現実なのですから、背筋が凍るとしか言いようがない(´・ω・`)

立花隆『中核VS革マル(上・下)』(講談社文庫)

中核VS革マル(上) (講談社文庫)

中核VS革マル(上) (講談社文庫)

中核VS革マル(下) (講談社文庫)

中核VS革マル(下) (講談社文庫)

冷戦のまっただなかで、共産主義革命がまだまだ冗談ではない時代に生きる人にとっても、同じ武力による共産主義革命を志向する革マル派中核派が血で血を洗う抗争を戦っていたのは奇妙そのものだったらしく、本書は各派が発行した機関誌やプレスリリースを丹念に読むことで、その謎を解き明かそうとしています。第三者からすると単なる近親憎悪のように思えますが、文脈を追っていくと組織体質や思想に明確な違いがあり、内ゲバもやむなしかという気分にはなります。殺人を犯すほどのものかという気はしますが(´・ω・`)

山平重樹『ドキュメント 新右翼: 何と闘ってきたのか』(祥伝社新書)

新右翼あるいは民族派と称される潮流の草創期を取材したドキュメンタリーになります。もともとは学生運動へのバックラッシュ生長の家を中心とする宗教保守的運動が合流したあたりに始まり、三島事件から運動的思想的影響を受けつつ、現在に至るまでどのような活動を続けてきたのか? 面白いのはその流れを語るに際して、活動家個々人にスポットライトを当てていること。歴史を鳥瞰するのでも、組織に着目するのでもなく、活動家がそのとき何を考え、どのように行動したのかを明確にすることで、新右翼という存在がどのようなものであるかを鮮明に浮かび上がらせているように感じました。