nekoTheShadow’s diary

IT業界の片隅でひっそり生きるシステムエンジニアです(´・ω・`)

最近の読書記録(宗教編):『キリスト教史』『『ふしぎなキリスト教』と対話する』『ごまかさない仏教』『仏教思想のゼロポイント』

読書とその感想をブログに書き散らすだけが趣味なのですが、最近は仕事が忙しくてさぼりがち(´・ω・`) ただあまりにもさぼりすぎたせいか、ブログに読書メモとして残しておきたい本のリストがたまりにたまってきたので、まずは宗教関連についてリストを消化していきたいと思います。

藤代泰三『キリスト教史』(講談社学術文庫)

キリスト教史 (講談社学術文庫)

キリスト教史 (講談社学術文庫)

日本への布教を含めた、キリスト教の歴史を一望できる1冊です。キリスト教の通史と名を打つ本はあまたありますが、そのほとんどが初心者向けの概要にとどまっているか、あるいはキリスト教の特定のジャンルに偏っているかのどちらかで、本書のようにキリスト教に関連するあらゆる学問領域を時間を軸として網羅しつつ、そのくせ初心者向けの簡単な記述になっていないというのは珍しいのではないでしょうか。全750ページ超、お値段2100円(税抜き)と文庫本にしては「お高い」部類ではあるものの、その価値は十分にあるように感じられます。

来住英俊『『ふしぎなキリスト教』と対話する』(春秋社)

『ふしぎなキリスト教』と対話する

『ふしぎなキリスト教』と対話する

数年前に『ふしぎなキリスト教』という新書がベストセラー、というより宗教書・新書というジャンルにしてはよく売れたということが話題になりましたが、本書はその関連書といえるでしょう。このベストセラーの間違いを指摘したり、あるいは賛同してみたりしつつ、キリスト教の「教え」をカトリックの神父がやさしく啓蒙していきます。ちなみに『ふしぎなキリスト教』を読んでいないわたしが本書を読んだのは、以前に読んだ同著者の『キリスト教は役に立つか』という本が面白かったから(ブログ記事にもしました)。著者が一般向けの執筆をつづけるのは、日本の知識人・知識階級におけるカトリックキリスト教の地位を上げることだそうですが、本書はその目的を十分に達成しているように思われます。

佐々木閑宮崎哲弥『ごまかさない仏教:仏・法・僧から問い直す』(新潮選書)

ごまかさない仏教: 仏・法・僧から問い直す (新潮選書)

ごまかさない仏教: 仏・法・僧から問い直す (新潮選書)

打って変わって仏教書(´・ω・`) 本書は原始仏教を信じる(?)ふたりによる、仏教や仏説をめぐる対談書です。日本人が仏教と聞くと「平安仏教」「鎌倉仏教」「葬式仏教」というワードを想起しがちですが、それらは過剰に日本化されゆがめられた仏教であり、釈迦が自ら説いて実践した教えはもっとラディカルでユニークなものであるということを教えてくれます。いわゆる入門書の類ではあるものの、仏教の面白さの端緒が知れたような気がしますし、これだけ論理的で「ぶっとんだ」宗教が日本の知識層において軽く見られているのはやや不思議に感じられました。

魚川祐司『仏教思想のゼロポイント:「悟り」とは何か』(新潮社)

仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か

仏教思想のゼロポイント: 「悟り」とは何か

前述した『ごまかさない仏教』が面白く、仏教に関心を持って本屋をうろちょろしていたときに見つけた、というより『ごまかさない仏教』に並んで平積みされていたので買った記憶があります。『ごまかさない仏教』に似て、本書も原始仏教上座部仏教に関する1冊ですが、『ごまかさない仏教』がやや教科書的・学校の講義的な側面を持っていたのに対し、本書はその方面の記述が少なめで、仏教徒が信じていることあるいは実践していることの本質・核心を言語化し、仏教徒ではない読者に伝えています。タイトルにある「ゼロポイント」、すなわち悟りの境地とは何かが平易に解説されており、仏教に対する知的好奇心が刺激されたように思います。