nekoTheShadow’s diary

IT業界の片隅でひっそり生きるシステムエンジニアです(´・ω・`)

松浦智之『すべてのUNIXで20年動くプログラムはどう書くべきか:デプロイ・保守に苦しむエンジニア達へ贈る[シェルスクリプトレシピ集]』(シーアンドアール研究所)

すべてのUNIXで20年動くプログラムはどう書くべきか デプロイ・保守に苦しむエンジニア達へ贈る[シェルスクリプトレシピ集]

すべてのUNIXで20年動くプログラムはどう書くべきか デプロイ・保守に苦しむエンジニア達へ贈る[シェルスクリプトレシピ集]

POSIX原理主義者のお通りだー(適当)

移植性を軽んじていると思わぬ場面でやられがち――とわたしが勝手に思っているだけですが、しかし実際にシェルコマンドの環境差異に苦しめられる機会があり、手に取った1冊です。本書の構成は前半1/3でPOSIXに準拠したbashの書き方を解説し、残る2/3は用例集になっています。

個人的に参考になったのは後半部。「POSIXという制約(?)の中でもこれだけ多様なことができる」ということもそうですが、POSIXの範疇ではできないことも多くあり、それが正直に書かれていることに好感をもちました。はっきりいうと、本書におけるPOSIXの限界とされるのは、かなり限られた用途の中で現れるものであり、プログラマが日常直面する問題の90%、いや99%はPOSIX準拠で解決できると思います。それに「POSIXの範囲外だが、事実上のデファクトスタンダード」といえるものは多数あり、それを組み合わせれば、残りの1%も問題なく解決できる気がします(´・ω・`)

こういう境界線に触れることも大事なこと――そして筆者が一番伝えたかったことかもしれませんが、bashのレシピ集としても楽しく読めました。また前半部はbashの文法講座としてよくできていると感じました。bash/shellscriptを「なんとなく」で書いてきた人がステップアップするにはちょうどよい1冊だと思います。