- 作者: 矢作俊彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/05/25
- メディア: 文庫
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仁村英爾シリーズの第1作目ですね。次の2作が収録されています。
- 「リンゴォ・キッドの休日」
- 「陽のあたる大通り」
矢作俊彦の作品を読むのは実はこれがはじめて。
今までは大した理由もなく避けてきました。「読まず嫌い」というべきかしら。でも「嫌っていた」わけではないし、単に読むタイミングを逃し続けてきたというのが実情だと思います。
さて読み終えての感想ですが、解説(池上冬樹)がずばりわたしの気持ちをいいあててくれているので、その部分を引用したいと思います。
ごらんのように、矢作俊彦の小説は多くの文脈をもち、さまざまに読み解くことができる。優れたミステリとして、または卓越した文明批評として、さらには華麗で美しいン文章の鑑賞としても、充分に読みごたえがある。何も知らずに読んでも愉しめるが、たしょうチャンドラーをはじめとする小説や映画に触れていれば、あらたな発見があり、別角度から作品が見えてきてうれしい驚きを覚えることになる。つまり一言でいうなら、再読、再再読にたえうる作品ということになるだろう。(p.352)
ここに2,3付け加えるなら、表題作より次の「陽のあたる大通り」のほうが「書きなれている」という印象を受けました。要するによい意味で「わかりやすかった」。正直なところ「リンゴォ・キッドの休日」はかなりプロットが混迷しており、油断しているとすぐ話がわからなくなるきらいがあります。対して「陽の当たる大通り」は一読しただけで、すぐ話を理解することができました。
なら「陽のあたる大通り」のほうが「よい」作品かというと――そういうわけでもなく、少なくともわたしの趣味趣向レベルでは「リンゴォ・キッドの休日」のほうを気に入っています。「複雑なものを複雑なまま語ろうとしている」そういうところに好感を持ちました。
まぁ趣味の域といえばその通りなのですが。
とにもかくにも「読まず嫌い」は脱したので、これからは矢作俊彦の作品をばりばり読んでいこうと思います。あと"リンゴォ・キッド"が登場するという映画『駅馬車』にも興味がわいてきたので、こちらもチェックしてみます。
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――とここまで書いたあと調べていたのですが、『駅馬車』は1933年の作品だそう。つまりパブリックドメイン入りしている可能性が高いわけです。というわけで再び調べたところ――BINGO! パブリックドメインでした。しかもニコニコ動画にだれかがアップロードしてくれている! やったぜ!
今度暇なときに見てみます。今は就職活動で全く時間が取れないので……つらい(´・ω・`)