nekoTheShadow’s diary

IT業界の片隅でひっそり生きるシステムエンジニアです(´・ω・`)

チャンドラー『レイディ・イン・ザ・レイク――チャンドラー短編全集<3>』読了。

レイディ・イン・ザ・レイク―チャンドラー短篇全集〈3〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

レイディ・イン・ザ・レイク―チャンドラー短篇全集〈3〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

チャンドラーが1938-39年に発表した作品5作が収録された短編集。収録作品は以下。

  • 『赤い風』Red Wind(加賀山卓郎)
  • 『黄色いキング』The King in Yellow(田村義進)
  • 『ベイシティ・ブルース』Bay City Blues(横山啓明)
  • 『レイディ・イン・ザ・レイク』The Lady in the Lake(小林宏明)
  • 『真珠は困りもの』Pearls Are a Nuisance(木村二郎)

チャンドラーは1939年に『大いなる眠り』を発表、長編作家へと「転向」してしまいます。そういう意味では本作収録作はパルプ作家としてチャンドラーがもっとも「脂がのっていた」時期の作品といえそうです。実際、評論書でも見かける作品も多いですし、なかなかの粒ぞろいでした。

大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)

大いなる眠り (ハヤカワ・ミステリ文庫)

個人的な収穫としてはやはり『赤い風』。個人的には再読なのですが、やはりよいですね。短いながらも(というより短いからこそ)骨格のはっきりした、深みのある作品だと思います。

どちらかというとチャンドラーは長編で有名ですが、そのプロットはお世辞にもほめられない。つまり「ぐだぐだ」。それもチャンドラーの魅力といえばそうなのですが……「ぐずぐずな長編なんて願い下げ。でもあのせりふまわしは好き」という方はぜひ短編を手に取ってみては?