- 作者: 山前譲
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/11
- メディア: 文庫
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収録作品は以下。
一応歴史に名前を残す作家ばかりが書いているので、どれもかなりの出来。
なかでも、個人的には三島由紀夫『復讐』が気に入りました。
なんというか……社会派推理小説を感じて、なかなか良かったです。
ともかく全体を通して楽しく読めたには読めたのですが……
探偵小説というにはちょっと無理がありませんかね。
『途上』『オカアサン』あたりは明確に探偵小説といえそう――少なくとも、探偵小説を意識した作品といえそうですが、あとの作品は「探偵小説とも読める」程度だと思います。
じゃあ全くだめかというと、そういうわけでもなく……
まあ、がちがちの探偵小説を期待するべきではないですね。
「娯楽性の強い、近代文学の小品を集めたアンソロジー」として読むものだと思います。
ちなみに、あとがき(山前譲)いわく、
『吾輩は猫である』の終盤、迷亭が苦沙弥らに、「この間ある雑誌をよんだら、こういう詐欺師の小説があった」とある小説の筋を披露している。その小説がロバート・バート「放心家組合」(あるいは「健忘症組合」)だと初めて指摘したのは、奇想溢れる小説で読者を魅了した山田風太郎だった。江戸川乱歩が古今の推理小説ベストテンにも選んだ作品である。(p.269)
だそうである。
これは知らなかった。
こういう解説が読めるのは文庫本のよいところですな。
なお「放心家組合」が読めるのは以下のアンソロジーだそうです。
- 作者: ウイルキー・コリンズ,江戸川乱歩
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1960/07/24
- メディア: 文庫
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