- 作者: 乾くるみ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/05/16
- メディア: 文庫
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ふむふむ。出版デビューはメフィスト賞をとった『Jの神話』だが、先に応募していたのは『匣の中』で、実質的には第2作にあたるらしい。
今の今までデビュー作だと思っていました。反省。
- 作者: 乾くるみ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/11/07
- メディア: 文庫
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タイトルからもわかる通り、おおざっぱな内容は竹本健治『匣の中の失楽』のパロディ。
妙に衒学的な登場人物たちが推理バトルを繰り広げながら、現実とフィクションがまじりあっていく構造はまさに『匣の中の失楽』と同じ。
- 作者: 竹本健治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/10/30
- メディア: 新書
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ただし、中心的なアイディアは全く別物。
両方読んでみての感想ですが――やはり後発の『匣の中』のほうが作品として洗練されているように思います。
だったら『匣の中の失楽』がだめかというと、もちろんそんなことはありません。
『匣の中』も大仕掛けが仕込まれてはいますが、『匣の中の失楽』の仕掛けのほうが精密でかつ壮大だと思います。
いわゆる「みんな違ってみんなよい」というやつですね。
まあ『匣の中の失楽』がなければ『匣の中』もなかったわけで、その分前者のほうが歴史的に見て偉大かもしれませんが……
(もちろん『匣の中』を貶める意図はありませんよ!)
個人的には両方楽しめたのですが、それは先に本家のほうを読んでいたから。
『匣の中の失楽』未読で『匣の中』を読んでも面白さ半減でしょう。
『匣の中』を読む際は先に『匣の中の失楽』を読んでおくことをお勧めします。