nekoTheShadow’s diary

IT業界の片隅でひっそり生きるシステムエンジニアです(´・ω・`)

最近読んだ4冊: 『コーヒーの科学: 「おいしさ」はどこから生まれるのか』『研究不正: 科学者の捏造、改竄、盗用』『平田篤胤: 交響する死者・生者・神々』『ガルブレイス: アメリカ資本主義との格闘』

タイトルが長い(´・ω・`) ここ2-3週間で読んで面白かった本を4冊紹介します。ジャンルはばらばらですが、どれも最近出版されたばかりの新書なので手に入れやすいと思います。

旦部幸博『コーヒーの科学: 「おいしさ」はどこで生まれるのか』(ブルーバックス)

タイトルだけ見ると「おいしいコーヒーの淹れ方を科学的に解明する!」というような内容を想像しますが、実際は「コーヒーに関する百科事典」というほうが正確でしょう。とりわけ筆者が大学の理系の教授ということもあり、自然科学的な内容が充実しています。それ以外にもコーヒーの歴史や淹れ方の種類など、さまざまな内容が網羅的に掲載されており、勉強になった1冊でした。

黒木登志夫『研究不正: 科学者の捏造、改竄、盗用』(中公新書)

研究不正 - 科学者の捏造、改竄、盗用 (中公新書)

研究不正 - 科学者の捏造、改竄、盗用 (中公新書)

科学者の研究不正について、さまざまな事例が集められた1冊です。ひとことに研究不正といっても様々な種類があり、性善説に基づき運営される科学コミュニティの難しさが伝わってきます。また事例紹介に際して、筆者の個人的なエピソードが開陳されることが多々あり、ユーモアを感じさせます。

吉田麻子『平田篤胤: 交響する死者・生者・神々』(平凡社新書)

平田篤胤: 交響する死者・生者・神々 (平凡社新書)

平田篤胤: 交響する死者・生者・神々 (平凡社新書)

左翼大学として有名な国立大学(文系)に通っていたころ、大学の教授たちから発せられる国学者のイメージは悪いものでした。国粋主義的であり、排外主義的であり、あるいは日本を第2次世界大戦に導いた元凶であり……うんぬん。なかでも平田篤胤はやり玉に挙げられやすい国学者だったと記憶しますが、本書によってイメージは覆ったような気がします。本書の解く平田篤胤の思想はどこか雄大さやおおらかさを感じさせ、平田国学という語から想起されるネガティブな印象とはずいぶんと違うものでした。

伊藤光晴『ガルブレイス: アメリカ資本主義との格闘』(岩波新書)

ガルブレイスは大学でアメリカ文学を学んでいたころに1冊読んだきりでした。経済学者というよりは社会学者という印象をそのときは受けたのですが、本書によればそれは間違っていなかったようです。ガルブレイスには、空理空論だけではなく、常に実社会と関係を持ちながら経済という営みを解き明かそうとする態度があり、その態度こそがガルブレイス=社会学者という「誤った」印象を抱かせたのでした。