nekoTheShadow’s diary

技術ブログとして始めたはずが、読書&愚痴ブログになりました(´・ω・`)

ギターを買った

台風で家から出ることもできないので、ブログを書いています。ちなみにこの記事は次のブログの続きエントリになっています。

nekotheshadow.hatenablog.com


ここ最近はFender Japanのテレキャスターを使っていたのですが、これがなかなかのぽんこつで、とにかく故障が多い。とくに電装系周りで、弾こうと思うと5回に1回は断線。そのたびにはんだごてを取り出してきて、修理していたのですが、先日ついにまったく音が鳴らない状態に。基本的にギターを何本も所有する経済的時間的余裕がないということで、家にあるのはそのぽんこつテレキャスターだけにも関わらず、それを弾きたいと思うたびに修理するのはなかなかのストレス。そのフラストレーションがたまっていたということと、2019年10月の消費税率引き上げで高い買い物をするならその前にというタイミングもあいまって、9月の終わりにギターを買ってしまいました。

手に入れたのFender Japanのムスタング。カラーはCandy Appleで、マッチングヘッド仕様の新品をお茶の水イシバシ楽器で購入。値段は税込みで10万強というところでした。ちょうど下のリンクのモデルですね。Fender公式Webサイトにはこのタイプのムスタングがなかったので、日本オリジナルやショップオリジナルのような特別仕様なのかもしれません。もしくは絶版で、現品かぎりのようなものかもしれません。

https://store.ishibashi.co.jp/ec/pro/disp/1/80-313603900


まず音の感想ですが、低域と高域が弱めで、ややミドルが出ているという感じ。もっともミドルが突出しているというよりは、ハイとローが弱いために相対的にミドルが強く聞こえるというもので、ほかのストラトキャスターテレキャスターに比べると、全般に出力が弱めではあります。この出力が弱い、低域が出ないというのは、現代的なロックをやっている人にとっては、ムスタングを遠ざける理由になりそうです。ロックに限らず、最近のポップミュージックは出力強めでロー強めになってきており、ムスタングだとややパワー不足かな。ただ自分はそういうローやハイのエッジが立った音楽をギターで演奏しないので、ムスタングでも十分。

もっとも家庭用の小さいアンプの音量控えめで引くので、ローやハイが出ないとか、ピックアップのパワーが低いとか言っていてもしょうがないところがあります。バンド演奏もしないですし、DTMをやるわけでもない。家で一人で気晴らしに弾く程度の自分にとって大事なのは音よりは演奏性。この演奏性ですが、抜群といってよいと思います。ムスタングはいわゆるショートネックですが、これがとにかく弾きやすい。とくに自分は手が小さいほうなので、テレキャスターでは苦労していたローポジションのテンションコードもらくらく押さえることできてしまいます。むしろネックが短すぎて、強く弦を押さえると、音がフラットしてしまうほど。また全体重量も軽めで、ストラップをつけて立って演奏していても、以前のテレキャスターに比べると、負担がずっと少ないです。ムスタングばかり弾いていたら、ほかのギターが弾けなくなるのでは? それぐらい自分にとっては楽ちんなギターです。

一般的にムスタングはチューニングが狂いやすいといわれますが、これは本当でした。自分の購入したものは、ムスタングにとっては一般的なダイナミックビブラートが採用されています。このダイナミックビブラートを使うとあっという間にチューニングが合わなくなります。自分はビブラートをほとんど使わないため、普段はアームバーを外しているのですが、それでもチューニングはおかしくなりがちです。最近のムスタングはトラディショナルを売りにしているモデルを除くと、このダイナミックビブラートを採用していないものも増えています。このチューニングの合わなさ加減を体感していると、むべなるかなという感想です。


今では聴く回数も減ってきたのですが、もともと自分がギターをはじめたきっかけとしては、いわゆるグランジロックやオルタナティブロックにあこがれてのことでした。その手のジャンルではムスタングがよく使われており、自分にとっては昔からあこがれていたモデルだったわけです。そういうこともあって、今回手に入れたムスタングにはとても満足しています。ギターをはじめたころの気持ちがよみがえってきている--というほどではないにしろ、弾いていて楽しいという気持ちを久しぶりに味わっています。ここ最近はクリーントーンで弾くことが多いのですが、時折、思いっきり歪ませて弾いてやると、かつてあこがれていたグランジオルタナで聴いたような音がするわけです。それだけでも童心のような何かが湧き出てきて、買ってよかったなと思うわけです。

池上純平『完全SIer脱出マニュアル』を読んだ

完全SIer脱出マニュアル

完全SIer脱出マニュアル

ここ2か月ぐらいは出張&ホテル暮らしが続いていて、月曜日の午前中に出張先に新幹線で向かい、平日はホテル暮らしをして、金曜日の夜中に東京へ帰ってくるという生活をしています。この生活は精神的肉体的に疲労がたまって、なかなかにストレスフルなのですが、それはさておき、出張生活の新幹線で読んだのがこの『完全SIer脱出マニュアル』です。筆者はインターネットポッドキャスト『しがないラジオ』のパーソナリティのひとりで、もともとは同人誌として出版したものを加筆修正して商業出版したとのことです。わたしは同人誌版を有していないので、その観点からのレビューはできません。あと「しがないラジオ」ですが、最近は忙しくて聞けていません……。出張生活が悪いんや(´;ω;`)ウゥゥ

本書は全5章構成ですが、もっとも中心的なのは第3章で、章名はタイトルと同じく『完全SIer脱出マニュアル』。もともとは鶴見済完全自殺マニュアル』のパロディだと思いますが、内容的にはまさにマニュアルといっていいものになっていて、「いわゆるWeb系のエンジニア・プログラマに転職するにはどうすればよいのか」について、きわめて具体的かつ事細かに記述されています。いわゆるWeb系の世界への入り方にスポットを当てているというのは面白いですし、それをここまでわかりやすく詳細にまとめている本はかなり貴重なのでは?

わたしも転職活動をしたことがあって、その最中体調を崩し、結局現職にとどまっているという過去を持つのですが、中途の転職活動というのは、いわゆる新卒の就活に比べると、わかりやすいプロセス・メソトロジーがなく、手探りで進めていく感が強くあります。よくいえば自由、悪くいえば何から手をつければいいかわからんというのが転職活動です。そういう世界において少なくともWeb系への転職を目指すならば、本書は心強いマニュアルになってくれると思います。

タイトルからすると「現職がSIerのSEで、Web系エンジニアへの転職を考えている層」向けの本に見えますし、実際そこがメインターゲットだと思いますが、それ以外にも

  • プログラマ・ITエンジニアとして就職を考えている学生
  • SIerの中でのキャリアの積み上げ方に悩んでいるSE
  • 非技術系だがIT技術者の採用や採用広報に携わっている人

などが読んでも、実りある内容になっていると思います。200ページ程度と比較的読み切りやすい分量になっているので、変な話ですが、片手間に読んでも問題ないかと思います。

心配があるとすれば、内容が個別具体的過ぎて、将来的に陳腐化しないかということ。Web系の世界は業界自体が年若く、はやりすたりが激しい世界だとよく耳にします。そういう流れのはやい世界のことですから、本書の内容のがすぐに役に立たなくなる可能性はあります。ただ2019年現在のスナップショットととらえれば、ある程度普遍性を持つのかな? まあ杞憂のような気がしますね(´・ω・`) 仮に3-4年後の未来に本書を読むとすれば、本書の内容=2019年現在のスナップショットということを前提に、読者が自分で内容を補完すればよいので。

個人的には第4章・第5章あたりも面白く読みました。内容としては「Web系エンジニアにはどのような職種があるのか」「Web系エンジニアはどのようにキャリアを積んでいくのか」というもので、タイトルにあるとおり、やはり「マニュアル」らしく、具体的かつわかりやすく記述されており、どこからでも手を付けやすいと思います。まずわたしがその手のことにまったく疎くて、勉強になったというのがまず第1。また読んでいて強く感じたのは、この第4章・第5章の暗黙の前提として「自分でキャリアの方向性を決め、その方向に向かって自己研鑽する」という思想があるのではないかということ。自己のキャリアデザインについて、自己決定&自助努力し、そして結果については自己責任を負うというのはある種当たり前なのですが、わたしの人生を振り返ってみると、そんなことはまったく意識せず、のほほんと生きてきたわけです。

わたしは自称外資系のおおきめSIerに勤務しているのですが、キャリアについてはいろんな話を耳にします。ソフトウェア製品のプリセールスとして入社したのに、思い付きでSEに転向させられたり、人質要員として保守運用にひとり客先常駐させられたり、転勤を拒否したら出張生活を命じられ、仕事内容もソフトウェアのテクニカルサポート業務になったり--全部わいのはなしや(´・ω・`) 要はSIerのキャリア・働き方はどうしても会社都合、ひいては顧客都合に引っ張られがちということです。それをある種当たり前というか、しょうがないものとして受け入れてきたのですが、ただ会社が敷いたキャリアに乗った結果のしりぬぐいをするのはほかならぬ自分です。直近で転職を行わないにしろ、もうちょっと自分のキャリアについて考えて、自ら行動するのもよいかなとよんでいて思った次第です (わたしの抱いた感想は、第4章・第5章を書いた筆者の意図とは異なるとは思いますが)

ギターが壊れてしまった

ここ数年使っているFender Japanのテレキャスターが壊れてしまった。しょんぼり(´・ω・`) 具体的な故障の現象としては、プラグをつなぐと大音量のノイズが流れて、もちろん弾いた音は出ない。もともと買ったときから調子が悪く、音がでなくなることが頻繁にあって、そのたびにはんだとはんだごてを使って修理していたような問題ギターではあった。

エレキギターの構造や改造に関心があれば、トラブルギターでも楽しく付き合えるのかもしれないが、自分は演奏が好きなタイプで、スペックや年式にこだわるたちではない。要するに頻繁に音が出なくなるというのは、演奏したいときに演奏できないということであって、自分にとってはかなりのストレスであった。そのこともあって、数年の間、エレキギターから遠ざかっていた。このころは自分の音楽の嗜好がHIPHOPよりになっていたというのと、根本的なリペアに出したり新しいギターを買ったりするだけの金銭的時間的余裕がなかったというのも、ギターから離れる大きな原因だったが、一番の原因は何かというと、やはり「弾きたいときに弾けないストレス」だろう。また「そこそこお金を出してはずれを引いた」というのも深層心理ではショックだったのかもしれない。

いろいろあってギター演奏を再開。例のテレキャスターを引っ張り出して、いろいろ調査したところ、どうも電装系全般がだめらしい。そこで自前ではあるが、ピックアップ以外の電装系をそうとっかえしたところ、多少安定したため、おっかなびっくり弾いていた--のだが、つい先日、上述した現象に襲われ、使い物にならなくなってしまった。配線が一本きれていたので、つなぎなおしてみたものの、まったく功を奏さず、とうとうさじをなげてしまった。

このギターを使うのはあきらめて、倉庫でもしまっておき、修理する気力がわいたら、また弾くつもりである。売りに出すことも考えたが、あちこち手を入れているので、二束三文しか値段はつかないだろう。多少の愛着もあるので、修理する暇と余裕と根気がわくまで、手元に取っておこうと思う。


自分が所有しているエレキギターが例のテレキャスター1本だけということもあって、現状、まともにアンプから音がでるギターが手元にないという状態である。多くはないが夏のボーナスも支給されたので、新しいエレキギターを買うことを考えている。見た目はFender系が好きなのだが、現状Fender Japanのギターで痛い目にあっているので、アメリカやメキシコも含めFender直系はパス。お値段的には10万以下、5-6万円前後で考えている。いいお値段を出してまたはずれを引いてしまうと、心のダメージが大きすぎて、耐えきれないので。ついでにモデルはテレキャス以外希望。

実をいうと、国産ギターと呼ばれるブランドに関心を持っている。比較的安価なモデルでも、作りはしっかりしているとの評判である。ギターそのもののトラブルに泣かされてきた身としては、とにかく丈夫で壊れないギターが欲しい。そのうえ、それほどお値段も張らないとなると、YAMAHAやFUJIGENなどの国産ブランドが視野に入ってくる。問題は取り扱っている店が必ずしも多くないということ。やはり楽器店としてもまずはFenderGibsonをそろえて、あとは自社ブランドや初心者向けのものが中心。ちょっと珍しいブランドを見たいとなると、楽器店行脚が必要になるが、この真夏に差し掛かろうとしている時期に外をうろうろしたくない。ネット通販という手もあるが、やはり試奏してから買いたいのである。

ここ数か月、出張族のような生活を送っていて、月曜日の朝に出張先に出発。火曜日から木曜日まではホテル暮らしをして、金曜日に帰京。要するに自宅にいるのは土日だけで、この状態でギターを買っても平日は練習できない。せっかく新しく手に入れたギターを毎日弾けないのは悲しすぎる。脱出張族を経てから買うのか、その前に買ってしまうのか、悩ましいところではある。もっとも現状は貴重な土日もギター演奏はできず、出張暮らしがいつ終わるのか、まったくめどがついていない。だとすれば、土日だけでも演奏できる環境を整えたほうがよいような気がするが、まだまだ迷い中である。


2か月ぶりのブログがとりとめもない内容になってしまった。では「ふだんのブログはきっちりした内容なのか」と問われると、答えにこまってしまうのだが(´・ω・`)

宇佐美典也 『パチンコ利権: 瀕死の業界に未来はあるのか?』(ワニブックス)を読んだ。

パチンコ利権 - 瀕死の業界に未来はあるのか? -

パチンコ利権 - 瀕死の業界に未来はあるのか? -

正直にいうと、何の気なしに手に取った本なのですが、意外に面白かったです(´・ω・`) 自分の人生を振り返ってみると、パチンコやスロットをしたことはなく、パチンコホールに立ち入ったのも数回程度。それもトイレを借りるためとか、併設されているラーメン屋に行くためとか、パチンコやスロットとはまったく無関係な理由でした。要はパチンコとはまったく縁遠い人生を送ってきたわけですが、そういう人間でも面白く読めたというか、勉強になった1冊でした。

あげだすときりがないので、このあたりでやめておきますが、以上のように、パチンコというのはとにかく話をややこしくさせる要素に満ち満ちていて、冷静な議論が難しくなりがちです。ともすれば「今日にでもパチンコを全廃しろ」というような、極端で現実味の欠いた結論になりがちです。そんななか、本書は現代のパチンコをめぐる諸問題について、歴史的経緯や法律論や社会的動向などを踏まえながら、冷静な議論を展開しています。タイトルがややセンセーショナルではあるのですが、内容はいたってまじめ。カジノ法案が可決されるなど、ギャンブルに対する社会的関心が高まっているなかで、もっとも身近なギャンブルであるパチンコの問題をこれだけわかりやすく、かみ砕いている本は貴重であり、もっと読まれてもよいと思います。

本書の全体の構成としては、パチンコをめぐる問題をいくつかピックアップし、章ごとに解説しています。まず、この問題の設定方法が上手で、読者が普段から疑問に思っているであろうトピックがずばり選択されています。そのため、どの章を読んでも勉強になるのですが、個人的にもっとも関心を抱いたのは第4章『数字から見るパチンコ業界の凋落: 大逆風に見舞われた21世紀』あたり。パチンコ業界自体の衰退はよく知られており、とくにスマートフォンゲームとの競合は要因としてよく挙げられますが、本書はもう少し突っ込んだ議論をしています。とくに近年のパチンコのゲーム性自体に衰退の原因を見ているのは目からうろこ。詳細は本書に譲りますが、最近のパチンコは「少数のユーザから搾り取る」「派手で華美な演出が多いわりに勝てない」という傾向があるらしく、パチンコを全くたしなまない私でも「それは面白くなさそう」と思える内容で、衰退もやむなしかな(´・ω・`)

第5章 『パチンコ業界はこれからどうすべきか: "グレー産業"からの脱却を提言』あたりで議論されていることですが、筆者はパチンコを地方創生のハブとして考えているようです。要するにパチンコホールに催事場機能やサロン機能を持たせようというもので、この妥当性については判断しかねますが、問題意識は次のWeb記事に近いと思われます。やや本題から外れますが、紹介しておきます。

news.denfaminicogamer.jp

最後に--本書には、パチンコホールの現在を肌感覚として知っている人物として、AV女優である紗倉まなと筆者の対談が掲載されています。そこには紗倉まなの写真が掲載されており、白黒で画質もさほどよい写真ではないのですが、それでも紗倉まなの写真写りはかなり良く、かえって紗倉まなの美人度合いがうかがえる内容でした。こんな写真でもきれいに映る紗倉まなは相当美人なんだろうなということですね。紗倉まなはAV業界でも頂点クラスの女優だそうですが、それも納得です(←なんじゃそりゃ)

『Oracleの基本: データベース入門から設計/運用の初歩まで 』(技術評論社)

Oracleの基本 ~データベース入門から設計/運用の初歩まで

Oracleの基本 ~データベース入門から設計/運用の初歩まで

Oracle Databaseの存在はもちろん知っているし、利用したこともある。ただ"利用したことがある"といっても、インフラエンジニアがインストールしてくれたものを使うだけで、利用するのはもっぱらSQL Developer。管理運用はまるっとDBAならびに運用オペレータにお任せ--というのが、この本を読んだときのわたしのスペックでした。要するに「Oracleに触ったことがある」という程度の人間だったのですが、何の因果なのか、新しく入ったプロジェクトで、Oracleを含むミドルウェアのローカル開発環境構築要員に抜擢(´;ω;`)ウゥゥ 割かれた工数もかなり少なめということもあって、Oracle Databaseについて突貫で勉強する必要があり、本書を手に取ったのでした。

本番環境や大規模な運用になると、本書だと物足りないのかもしれませんが、ローカルPCに開発環境を構築する程度であれば、本書で十分すぎるほど。Oracle Databaseに関して最低限知っておくべき知識が過不足なく簡潔に、かつわかりやすくまとめられており、初めてOracle Databaseに触るという人はもちろんのこと、「Oracleをなんとなくで使ってきた」「その場その場のGoogle力で乗り切ってきた」というわたしのような人間にとっても知識を体系的に整理できるよい機会でした。ちなみに自分が構築したのはOracle 18cでした。本書はOracle 12c対応となっていますが、18cでもちゃんと通用する内容になっています。もしバージョン違いで買うことをためらっている人がいるなら、迷わずGO!

本書のおかげでOracleの基礎的な知識を身に着けることができ、ローカル開発環境の構築と手順書の作成を無事終えることができました。感謝! まあそのプロジェクトはなくなったけどね(´・ω・`)

柚月裕子『凶犬の眼』(角川書店)が面白かった

少し前に読んだ『孤狼の血』が面白かったので、その続編である本作を読んだのですが、読みごたえがあって面白かったです。GW帰省の新幹線の車中で一気に読み切ってしまった(´・ω・`)

孤狼の血 (角川文庫)

孤狼の血 (角川文庫)

孤狼の血』は実在のやくざ組織や事件を参考にしたと思われる個所は存在するものの、全体としては映画『県警対組織暴力』や『仁義なき戦い』を下敷きにしていました。両映画、とりわけ『仁義なき戦い』は実在の抗争事件をもとにした映画なので、そういう意味では『孤狼の血』は実際の広島抗争をもとにしているといえなくはないのですが、作品全体の雰囲気としては"実録"感はうすめ。あくまで映画・フィクションのオマージュ感が強い一方、本作はかなり"実録"感は強い印象でした。ありていにいうと、本作はいわゆる山一抗争、および、そのさなかに発生した四代目山口組組長射殺事件が元ねたです。とりわけ国光寛郎という人物。彼は作品中の最重要人物なのですが、このモデルはあきらかに一和会系の有力組織の組長で、四代目山口組組長と若頭を射殺した、とある人物です(あいまいな書き方ですが、山一抗争を多少知っている人であれば、すぐわかるほどの超有名人)。そのほかにも登場するやくざのモデルが明らかすぎるほどだったり、ディティールを彩る事件が実際に山一抗争で発生したものとうりふたつであったりと、現実の山一抗争をかなりにおわせる書き方をしています。誤解をおそれずにいうと、本作の完全なるフィクション部分を除けば、『実話時代』のような実話雑誌に掲載されている実録小説と内実はほとんど変わりません。それほどまでに"実録"色が色濃く出ています。

山一抗争は戦後最大の暴力団抗争、もしかするとやくざ史上最大の暴力団抗争で、民間人を含む多数の死傷者を出し、挙句の果てには山口組の組長と若頭までが同時に殺されるという、まさに「血で血を洗う」というにふさわしい戦争でした。しかし抗争を振り返ってみると、繰り返し述べている四代目山口組組長射殺事件を除くと、終始山口組が一和会を圧倒しており、「弱いものが智謀と度胸をふるって、強いものを倒す」というような映画的カタルシスはほとんどありません。確かに規模は史上最大であり、また部分部分を見れば刺激的なトピックもあるのですが、全体を通してみれば「強い奴が勝つ」という現実的で面白みに欠けるのが山一抗争です。これをどのようにしてエンターテイメント小説とするのか。それも敗軍である一和会側の人物を主軸に添えるとなると、かなり難易度が上がりますが、本作はそれを軽々超えていました。しかも、基本ラインは『孤狼の血』と一緒。『孤狼の血』は「一癖もふた癖もある人物に感化されて、青年が成長していく」というホモソーシャル的なビルドゥングスロマンが主軸でしたが、本作でもそうした構造は取り入れられており、作者の物語作者としての手腕を強く感じました。

このてのやくざものは本作で打ち止めというようなことを作者は述べているようですが(媒体失念)、もっと書いてくれないかしらん(´・ω・`)

曽根壮大『失敗から学ぶRDBの正しい歩き方』(技術評論社) を読んだ。

失敗から学ぶRDBの正しい歩き方 (Software Design plus)

失敗から学ぶRDBの正しい歩き方 (Software Design plus)

Twitterのタイムラインで話題になっていたので読みました(ミーハー)が、とても良い本でした。「失敗から学ぶ」「RDB」とタイトルにある通り、本書はRDBSQLに関するアンチパターン集で、1章に1個の割合で、合計20個のアンチパターンが紹介されています。「RDBSQLに関するアンチパターン」というと『SQLアンチパターン』という名著があり、本書でもたびたび言及されています。正直なところをいうと、重複している部分もあるのですが、『SQLアンチパターン』はどちらかといえばDBやテーブルの設計に関する記述が多かったのに対し、本書はDBの運用やアプリケーションとの連携といった部分にまで話が及んでおり、『SQLアンチパターン』と比べると、話題のスコープが広いように感じました。

SQLアンチパターン

SQLアンチパターン

タイトルに関連して述べておくと、表紙には大きく「MySQLPostgreSQLの設計・運用を見直す」とありますが、基本的には特定のRDBMSに限定されない記述になっています。「どういう設定をすればよいのか」「どこを確認すればよいのか」など、具体的な部分でMySQLPostgreSQLを例示している部分はありますが、そこはある程度読み流してしまっても、本書の価値を大きく損なわないと思います。事実、こう書いているわたし自身、MySQLPostgreSQLを本番環境で使ったことがありません……。SIer勤務だとどうしても商用DBが中心になるんや(´・ω・`)

個人的に本書を読んでいて感心したのは、各アンチパターンを紹介する前に「そのアンチパターンを採用すると、どういう場面で困るのか」をストーリー形式で示していること。「XXXはアンチパターンなのでやめましょう」するにあたって、そのアンチパターンがもたらすデメリットが具体的に述べられていれば述べられているほど、その主張は説得的になりますし、読者も自分事のように感じて、まじめに読むようになるはずです。また「どういう場面で困るのか」を示したストーリーですが、目を閉じれば情景が浮かんできそうなほど「あるある」な内容になっています。わたしも似たような場面を経験したことがちらほら……。そうした「あるある」なストーリーを描くことができるということは、筆者のRDBに関する経験の豊かさや造詣の深さをうかがわせており、これも本書の説得力を増強していると思いました。

個人的な経験で申し訳ないのですが、DBやテーブルについて奇妙な設計をしてしまっても、開発自体は意外と何とかなったりします。ただし運用は死ぬ。また本書でも言及されていますが、アプリケーションに比べるとデータはずっと長生きで、「新しいシステムを作ったが、データは古いシステムから引き継いで使う」という話はよく聞きます。要はテーブルやDBやSQL関連の考慮不足が問題として爆発するまでにはタイムラグがあって、開発者はその遠い未来の爆発が起きないような手法を身に着ける必要があります。その点で、本書は量も手ごろに、アンチパターンとその対策が説得的にまとめられていると感じました。